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2 任意後見制度

(1)全般
Q. 任意後見契約が登記されているのに、家庭裁判所が法定後見の開始の審判をするのはどのような事情がある場合ですか
A
  • 任意後見制度は法定後見制度よりも本人の意思を尊重する制度であるため、原則として法定後見制度に優先します。
    ところが、家庭裁判所は、任意後見契約が登記されている場合でも、「本人の利益のため特に必要がある」と認めるときに限り、後見開始等の審判ができることになっています(任意後見契約に関する法律10条)。具体的に「本人の利益のため特に必要がある」事情とは次のような場合です。
    (1)本人が任意後見人に与えた代理権の範囲が狭くて必要な法律行為が行えない場合
    この場合、本人から代理権の範囲を追加してもらいたくても、本人の判断能力が低下していて無理な場合は、裁判所に法定代理権を与えてもらうことが必要になります。
    例えば、当初は予定していなかったものの、本人の生活費のため自宅を売却せざるをえない状況になった場合、そのような権限を追加する必要があります。
    (2)本人について同意権、取消権による保護が必要な場合
    任意後見においては本人も契約を締結することができる能力がある間は、自らした契約により消費者被害にあったりすることがあります。このような場合、法定後見制度の契約の取消権により本人を保護すべき場合があります。
    (3)任意後見人が適性を欠く場合
    任意後見受任者が本人に対して訴訟をし、またはした者およびその配偶者並びに直系血族である場合は、通常、経済的にも感情的にも対立関係にあるといえ、任意後見人として適切といえません。また、任意後見受任者に不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある場合も同様です。